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実家の畑をつなぐ広場の様なリビング

両隣をご実家の畑に囲まれた土地にこの住宅は計画された。

南側の祖母やお父さんが管理する畑が広がり。北側には小さな畑と祖母の家、その更に北側にはご両親が住む母屋が有る。

造園を仕事にするご主人が 設える庭と一体になった開放的なリビング、車2台分のガレージが欲しいという要望を受けて、大きな片流れの屋根と壁をナナメにするプラン、間口一杯の引き込み窓を提案した。

これにより、2つの畑をつながぐ土間の様な空間が出現した。

柱の無い8mの開口部と駐車場の5mの片持ち屋根は、建物も長手方向15mに通した2本の鉄骨梁を架けることによって実現した。

駐車場はナナメの壁により、2台分の効率的な配置が可能になった。

リビングは南側に向かって壁が広がり、南側を向くと壁の存在が消え、人、家具、造園、その向こうの畑までそれぞれが等価に意識の中に現れる。

南側に下がった屋根は夏の日射を遮るとともに、意識を庭や畑が有る地面に向ける。

開口部のコンクリートのベンチは床の付近に影をつくり、開口部に現れる風景を鮮やかに切り取る。

コンクリートのベンチは更に南側に伸び、屋根の有るテラスになり、先端では畑に向かったベンチになる。

リビングは北側を向くと天井が上がり、キッチンの向こうのすぼまった窓の向こうが祖母の畑とつながる。

グレーに染色したバーチ合板の床やコンクート製のキッチンは畑に囲まれた広場の様な雰囲気を作り出し、外部と連続した鎧張りの米ヒバの壁は光や樹木の影に奥行きを与える。

南側のコンクリート製のベンチや床の段差に座ると、台形の平面が生かされ向かい合う様な雰囲気が生まれる。

平面的に斜めに振った壁と片流れの屋根というシンプルな構成によって、周辺の環境を生かしたおおらかな住宅となった。